アメフラシ

アメフラシはウミウシに近い系統の動物です。

突っついたりいじめたりすると、身の危険を感じて紫色の物質を分泌します。
これが海中に広がって、あたかも雲のように見えることから
“アメフラシ=雨降らし”と呼ばれるようになったそうです。
(梅雨ごろに磯に集まるからだとも言われます)

この紫色の汁が不味いため、敵はアメフラシを攻撃するのを止めると言います。
また、単に煙幕のような役割なのかもしれません。

巻貝の仲間ですが、見かけ上貝殻はありません。
実際は、表皮(軟体動物では外套膜といいます)に隠れて殻を持っています。
この殻はおおよそ巻貝のものとは思えないほど薄く、
また巻きも緩すぎて二枚貝のようです。

上の写真の個体は黄色い殻が露出していますね。
(写真左上のほう)

海そうめん

梅雨ごろに磯を散策していると、インスタント麺を散らかしたような跡がありました。
まったく、海にゴミを捨てるなんて、けしからんやつだ…

しばらく歩いていると、また同じようにラーメンが散乱していました。
何でこんなにラーメンが!?
なんて思って、ふとあたりを見渡してみると
なんと、あたり一面、ありとあらゆるところにラーメンの塊が。

なんじゃこりゃああああ

しかも、よく見ると麺の中に黄色いブツブツがいっぱい…

実は、これはアメフラシの卵なのです。
昔はラーメンなんて無かったものですから、この卵は“海そうめん”なんて呼ばれます。

アメフラシが梅雨の季節に磯に集まってくるのは、産卵の為だったのですね。
彼らは雌雄同体で、二匹以上が出会うと精子を交換し合って、
それぞれが卵を産みます。
卵から孵った子供はしばらくプランクトン生活をしながら成長し、また磯へ帰ってくるのです。
なおアメフラシの寿命は2年ほどと言われます。

海そうめんと言うあだ名の卵ですが、地方によっては本当に食べる所もあるそうです。
ただし、アメフラシが食べた海藻の種類によっては卵に毒が蓄積していることがあるので、
一度、召し上がってみてはいかがだろうか?