フジツボの仲間

フジツボの仲間は非常に種類が豊富で、
人間とネコほどに系統の離れたものもいますが、
基本的な生態が似ているため記事をまとめさせていただきます。

フジツボは甲殻類に分類される仲間。
貝ではなくエビやカニの仲間です。
別のものにくっついて動かず、触手を出して餌を濾しとって食べています。

幼体は自由に動き回れますが、成体では移動することは出来ません。

遠距離恋愛の禁止

フジツボの仲間は幼生の時期、
ケンミジンコなどの甲殻類に近い姿をしていて、自由に動き回ることが出来ます。
たらふく餌を食べると、今度は“キプリス幼生”と呼ばれる形に変化します。
このキプリスは自由に動くことが出来ますが、餌はまったく食べません。
その後変態して大人のフジツボになるので、
このキプリス期のことを“動くサナギ”、と呼ぶ人もいます。

キプリス幼生は適当な岩場を見つけると、頭から接着剤を出して岩に張り付きます。
そこで脱皮して大人のフジツボになるのです。

このとき、キプリスはできるだけ仲間のそばに張り付こうとします。
フジツボの生えていない岩は極力避けるのです。

何故そうするかというと、一度フジツボになってしまえばもう移動することは出来ないからです。

フジツボは雌雄同体。
つまりどの個体もオスであってメスでもあるのです。
だからといってパートナーがいなければ繁殖は出来ません。

移動できないフジツボが選ぶパートナーは、自分の近くに張り付いている個体だけ。
遠く離れて遠距離恋愛は出来ないのです。
だから、キプリス幼生はなるべく仲間のいる岩に張り付こうとするのです。

フジツボの怖い話

フジツボに関して恐ろしい話があります。

海に遊びに来ていた男性がフジツボのついた岩で足を切る怪我をしました。
小さな切り傷だったので軽い処置で済ませてしまいましたが、
痛みが長引き、ついに病院に行って見ることにしました。

そして原因を知るのです。

なんとヒザの裏側に大量のフジツボが!!

怪我をしたときにフジツボの卵が入り込み、
人間の血液中で増えて骨の裏にこびりついてしまったというのです。
ああ、なんと恐ろしいフジツボ。
皆さんも海に遊びに行くときは充分気をつけてくださいね。

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という都市伝説

実際は足にフジツボが生えるなんてことは絶対にありえませんのでご安心を。
ただし、フジツボやサンゴ、海の岩で怪我をすると
雑菌が入って化膿してしまう可能性がありますので充分にご注意ください。
海で怪我をしたらすぐに消毒をすること。

色々なフジツボ

クロフジツボ

磯で普通に見かける大きなフジツボです。
富士山のような形をしていて、色は灰色〜黒っぽい感じ。

先端にはひし形の穴が開いていて、
ここから脚を出して海中のプランクトンを捕まえます。
年取った個体は波によって殻が削られて、
穴が大きくなってしまうようです。

イワフジツボ

磯で普通に見られる小型のフジツボです。
大きさは数ミリしかありません。

満潮時に海に漬かってしまう場所より
時折波をかぶる場所を好むようです。

日本の海岸の岩には大抵びっしりこびりついています。
黒い岩が白く見えるほど…

有効利用

フジツボは岩や船体に強力に貼り付いていて、なかなか剥がすことが出来ません。
そこで、フジツボの出す分泌物を研究し、水の中でも使える強力な接着剤を作ろうという動きがあります。

水の中でもしばらく耐える“耐水性”の接着剤ではなく、
完全に水中でも用いることが出来る接着剤が期待されています。

フジツボ接着剤が一般化されれば、簡単な船の補修や人間の体内での使用(手術など)も出来ます。
今後の成果に期待!