ヤシガニ

ヤシガニは“カニ”という言葉が名前についていますが、ヤドカリの仲間です。
オカヤドカリに非常に近縁で、ようは巨大化したオカヤドカリの一種なのです。

沖縄の固有種のイメージが強いヤシガニくんですが、
主な分布域は東南アジアで、しかも沖縄本島では絶滅しています(ナンダッテー)

石垣島などにはまだいるようですが、2008年に石垣に行ったときには見かけませんでした。
夜行性なので、昼間見つけるにはヤシガニの隠れている穴を探さないといけないようです。

オカヤドカリとの比較


オカヤドカリ

かわいらしいですね

ヤシガニ

ごついですね

オカヤドカリもヤシガニもとっても臆病な性格。

オカヤドカリの眼はオドオドしていてとっても可愛いのですが、
ヤシガニとなるとこっちをまったく信用していない
いざとなったら何をしでかすかわからねぇ、っていう眼をしてやがりますのでちょっと怖い

入る物件が無い!

ヤシガニがヤドカリの仲間だということは既に触れましたが、
では何故貝殻を背負っていないのでしょうか?

ヤドカリ類の腹部は一般的に柔らかく、
何かで保護しなければ常に弱点をさらけ出してしまうことになります。
また、乾燥に弱く、オカヤドカリ同様に鰓で呼吸する為に、
貝殻に水を溜めておく必要があります。

しかし、ここで問題が生じます。
ヤシガニの体が大きすぎて、サイズの合う貝殻が無いのです。


写真の個体は、実はかなり小さい個体。これからもっと大きくなります。

そこで、ヤシガニは他のヤドカリと違って腹部を甲殻で強化し、
それを内側に折りたたむことで保護します。

呼吸の問題があるためか昼間は穴を掘って隠れていて、夜に活動を行います。
雨降りの日などは特に活発なようです。
なお、甲殻に覆われていない部分はとっても柔らかくて、その感触は病み付きになるとか。

ちなみに、ヤシガニも子供のころ(2ミリくらいのサイズ)は貝殻をヤドにしているそうです

危ない!!

ヤシガニはペットショップで販売されていたり、
沖縄の離島で野生のものを見かけたりする機会があり、
そういう場所では安易に手を出してしまいがちです。

しかし、ヤシガニのハサミはとてつもない力を秘めています。
あの小さなオカヤドカリでさえ、はさまれると相当痛いのに、
それが大きくなっちゃってるわけです。
ボールペンをへし折るくらいのパワーがあり、
当然、人間の指なんか平気で持って行きます。

余談ではありますが、沖縄などでは料理されることもあります。
可食部は脚やハサミの肉、それに腹部に溜まった大量のカニ味噌です。
絶滅危惧種でありますので、これから先捕獲制限などが入るかもしれませんが、
今のところは捕まえて食べても問題ないようです。


毒のある果実を食べ続けた個体ではかなり強力な毒を蓄積していることがあるので、
一度召し上がってみてはいかがだろうか?(笑)

中毒を避ける為に、内臓は茹でる時に取り出したほうがよいそうです。
が、これで完全に毒が防げるわけではありませんのでご注意を。