ヒザラガイの仲間

岩などに張り付いている虫のような軟体動物です。
ダンゴムシそっくり!
「貝」と名前がついていますが、二枚貝や巻貝とは別のグループを形成しています。

身近なところだと干潮時の磯でよく見られます。
岩の間などに何匹かあつまってくっついていることが多いようです。
完全に水の外に出てしまっていますが、潮が満ちるまでじっとして耐えています。

彼らの呼吸器は腹側についていて、硬い殻と肉厚な“肉帯”で守られているのです。

貝と虫は同じ祖先から分かれて進化した!?

昔はエビや昆虫などの節足動物、ゴカイなどの環形動物、
そして貝やイカ・タコといった軟体動物は互いに近しい系統だといわれていました。

それは節足動物と環形動物は互いに「体節」とよばれるからだの構造を持っているため。
ミミズやムカデなど、細長い体に節目を伴った体つきをしていますよね?
一方、貝やイカなどの軟体動物には体節がありませんが、
体節の名残を持つのがこのヒザラガイだというのです。

「こんな姿の祖先から、貝やイカたち軟体動物と、エビ・ムカデ・昆虫たち節足動物は別れて進化したのだ!」
とこういう話になるわけです。
…しかしながらこの説は大間違いで、
環形動物はともかく、節足動物と軟体動物はまったくの無関係の生物であることがわかりました。

なぜ間違った説が生まれてしまったのかといえば、大体ヒザラガイのせい。

ちなみに環形動物は軟体動物と同じ系統の動物。
体節という構造は節足動物とは無関係で、独自に獲得したものだそう。

実は目がある

このヒザラガイ、背中側には殻しかしかないように見えますが、
実は体の後のほうの殻には光を感じ取る器官があります。

種によってはビーズのような構造物がついていることがあり、これはレンズの役割をするのだそうです。
レンズの主成分は殻と同じ鉱物の「アラゴナイト」。
このレンズで敵の接近を認識して防御体制をとるのだとか。

色々なヒザラガイ

ヒザラガイ

これが普通のヒザラガイ。
写真のように色の濃い個体もいますが、
模様の無い個体もいます。

(このページの最初の写真もヒザラガイです)

ヒメケハダヒザラガイ

毛肌、という名前の如く
毛のような突起物が肉帯についています。

殻は小さく、縦長に見えます。