アリグモの仲間

ハエトリグモの仲間に含まれる小さなクモです。
記事をハエトリグモの項にしようとも考えましたが、生態が特殊なので分けさせていただきます


アリグモとは、その名のとおりアリに擬態したクモです。
アリの肢は3対(6本)、クモの肢は4対(8本)ですが、
アリグモは一番前の肢を持ち上げて触角のフリをしています。

オスの頭部には巨大なアゴがあってアリのようには見えませんが、
@メス A未成熟なオス ではアゴが目立たずアリそっくりです。

何故アリに化けるのか?

アリグモは何故アリに擬態するのでしょうか?

一説にはアリに擬態してアリに近づき、襲って食べるのだとか。
仲間だと思って警戒されないんですね。頭いいですね。
ま、間違ってるんですけどね(ぇ)

アリグモを調査した結果、アリを襲って食べる行動はほとんど見られないことがわかりました。

それは何故なのか?

アリというのはつまるところ陸戦特化型のハチです。
スズメバチ、ミツバチ、アリと3種類並べた中で、スズメバチに近いのはアリの方なのです。
アリの中には毒針を持つものもいますし、それが無くても腹部の先端から酸を飛ばす攻撃も出来ます。
さらにアゴの力はすさまじく、また働きアリが一斉に襲いかかってくる強烈な集団行動。
ハチが空軍だとすればアリは優秀な陸軍なのです。

体の大きさが似たようなサイズのアリに囲まれれば、アリグモだってひとたまりもありません。
彼らはフェロモンによって厳格に統制されており、違う群れの個体が混ざっているだけで殺戮します。
仲間であっても識別フェロモンを取り除いてしまえば同じように殺害されます。

アリグモが同じ大きさのありに近づくこと自体が自殺行為なのです。
擬態して近づくなんてもってのほか。

逆に言えば、小さな昆虫にとってアリは脅威であり、
アリに擬態すれば他の昆虫から狙われにくいということになります。
そう、アリグモは獲物をだます為に擬態するのではなく、敵を欺くために擬態をするのです。
防衛機構なのです。

色々なアリグモ

アリグモ

平野部でも普通に見られるアリグモです。
写真はオス。

ヤガタアリグモ?

アリグモの同定は難しく、
大顎の傍にある触肢を顕微鏡で確認して判別します。

写真の個体はヤガタアリグモのメスだと思われますが、
タイリクアリグモの赤褐色型かもしれません。

また、メスではなくオスの亜成体かもしれません。