オカヤドカリの仲間
名前の通り陸(おか)に住むヤドカリの仲間で、日本では沖縄や小笠原諸島に生息しています。
沖縄といえばヤシガニも有名ですが、実はヤシガニもオカヤドカリの仲間。
ヤシガニについては当サイトでは別のページに掲載していきます。
2006.8 沖縄・ナガンヌ島 by 南波瑛人
沖縄県では主に海岸近くや、その周辺の林の中でよく見かけます。
磯にいる小さなヤドカリと比べると、脚ががっしりとしていて、鋏も立派です。
実際、はさまれるとものすごく痛い。
元々が臆病なヤドカリなので、下手をすると鋏で肉をつかんだまま殻に引っ込んで隠れてしまいます。
引っ張っても放してくれないので、僕の経験上たどり着いた結論は水に沈める方法。
慌てて放してくれる…かも?
大切な物件
陸で生活するオカヤドカリですが、なんと彼らは鰓呼吸をします。
貝殻の中に水を溜め込んでいて、いつでも呼吸できるようになっているのです。
そのため、オカヤドカリは水場からあまりにも遠く離れることは出来ません。
また繁殖のときも海が必要で、
オカヤドカリの幼生は海でプランクトン生活を送った後、陸に上がってくる仕組みです。
貝殻には水貯め以外にも色々と役割があり、
柔らかい腹部を保護したり、糞を一時的に溜めて置く場所だったりします。
ちなみに、糞は水を飲むときについでに“水洗”します。
きれい好きなんですね。
よく、一つの場所に生息する生き物の数は餌の量によって変わる、と言われます。
しかし、ヤドカリにとっては餌よりも物件のほうが大事で、
ヤドカリの生息数は貝殻の数によって変わる、と言われます。
ヤドカリ自身は脱皮して大きくなっていきますが、貝殻はいつまでも同じ大きさ。
こと有るごとに引越しをしなければならないのも、物件の需要過多の原因にもなっています。
ヤドカリ社会では、常に住宅難なのです。
天然記念物ですので捕獲禁止
第二次世界大戦後、沖縄がアメリカに占領されていたときの話。
小笠原諸島もアメリカの占領下にありましたが、一足先に日本に帰ってきました。
そんな小笠原諸島でオカヤドカリが減少しているということがわかり、本土では見かけない種であることもあって
「こいつはとても希少な種だ。保護しないと絶滅してしまう!」という流れになったわけです。
こうして、オカヤドカリは天然記念物に指定され、手厚い保護を受けることになりました。
しかし。
沖縄が返還された後、学者は驚きました。
沖縄にはオカヤドカリが沢山生息しており、しかも、ヤドカリを捕って販売し、生計を立てている人までいたのです。
困ったことになりました。
天然記念物であるはずの生き物がたくさんおり、その捕獲を生業としている人がいる…
困った政府は、オカヤドカリに関して特例を設けることにしました。
それは『指定された業者のみが指定された時期にのみヤドカリを捕っていい』というもの。
結果としてオカヤドカリは唯一ペットとして買うことができる天然記念物になったのです。
2006.8 沖縄・ナガンヌ島 by 南波瑛人
しかし、勝手に持ち帰ってしまう旅行者や、優秀な釣り餌になるために密猟を行う釣り人など、違反者は後を絶ちません。
また、業者によってはおもちゃ感覚でビニールパックに詰めて販売するなど、
生き物に対するマナー…というより常識の無さも目立つようになりました。
現在、沖縄のオカヤドカリも小笠原同様に減少傾向に有るといいます。
日本のオカヤドカリは“世界で最も北に生息するオカヤドカリの仲間”であり、貴重な存在であることに変わりはありません。
彼らを守る為に、
@勝手に捕まえない A悪質な業者ではヤドカリを買わない
この二つを覚えておいてください。
色々なオカヤドカリ
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