ユスリカの仲間

双翅目 カ下目 ユスリカ上科 ユスリカ科

ユスリカはカによく似た小型の昆虫です。
非常に種類が多い上にとても小さく、正確に種を同定するのは困難極まります。

どんな虫かというと、なんてことはない、「ただの羽虫」です。
キング・オブ・普通の虫、それがユスリカです。


2014.3 愛知・職場にて撮影

に似ているために叩き潰してしまいがちですが、こやつらは人間に対してまったく危害を加えません。
そして、大して役にも立ちません。
なのでユスリカが飛んでいたからといって特に何もしなくてもよいです。

カとの見分け方ですが、壁などに留まったとき、カは後ろ脚を上げたポーズをとります。
ユスリカは6本の脚を全部壁面にくっつけます。
カは吸血・食事用の針が目立ちますが、ユスリカは目立ちません。
カは翅に鱗粉を持っていますが、ユスリカの羽は透明です。

蚊柱!

よく水面などで「蚊柱」と呼ばれる集団を作ります。
「蚊柱」と聞くとカが集まっているように聞こえますが、正体はユスリカです。

この蚊柱ですが、実は大婚活パーティーの会場です。
オスとメスが入り乱れて繁殖をしているのです。
海外の映像で、湖の上で煙のように渦巻く大量のユスリカを見たことがあります。
いくら無害な虫といっても、あの量は流石にドン引きです…。

大量発生すると、洗濯物に大量に留まったり、布団をはたいたときにつぶれて付着したりするので、
その点は厄介ですね。

なお、オスとメスの見分け方はカと同じ方法が使えます。

写真のようにとても小さいので見づらいですが、触角がふさふさしているのがオス。

この子のように触角が目立たないのがメスです。

幼虫の利用

成虫ではカに似ているユスリカですが、幼虫の形はボウフラとは似ていません。
「アカムシ」と呼ばれて理科の教材で使われたりします。
僕も高校時代に顕微鏡を使ってアカムシの解剖実験をしました。

このアカムシですが、教材以外にも使い道があります。
それは、熱帯魚のえさ
熱帯魚屋さんに行くと「冷凍アカムシ」や「乾燥アカムシ」が販売されています。
良質のたんぱく質が取れますし、商品によってはビタミンを添加してあったりします。
水が汚れるのが難点ですが、食いつきも良いのでオススメのエサです。

また、水質浄化にもよいとされています。
水の汚れや有機物を食べて成長し、成虫になると飛び立って川から離れていくので、
結果的に川の汚れを除去してくれるというのです。
成虫では役立たずのユスリカも、幼虫では大活躍ですね(笑)


2012.11 自宅で発生したアカムシ…

防虫剤にご注意

「ぶら下げておくだけで防虫になる」こんな宣伝文句の防虫剤・昆虫忌避剤ありますよね?
そのパッケージには蚊のような昆虫のイラストが。

そのイラストを見れば、蚊にも有効なのかと思ってしまいます。
しかし、よく見ると、効果のある昆虫の表記には「ユスリカ」と書いてあるだけで「カ」とは書いてない。
そう、このタイプの防虫剤はユスリカには効いてもカには無意味な場合が多いのだ!

購入の際には裏面の表記をよく読みましょう。
ユスリカが大量発生して困っているときにはもちろん絶大な効果がありますので、
ケースバイケースで使用しましょう。